前にどこかの刑務所で、受刑者に漫画の描き方を教えるという試みをしているところがあった。出所後の賃金を上げて社会復帰を支援するという名目で、こんなに絵が上達しました、だから雇ってやってくれ、と実例を挙げていた。
それが一点残らず、一銭にもならないような絵ばかりだった。すべてがただの図なのだ。芸術的な要素、想像力がまったくない。「上達」前の実例のほうがまだ金になるというほどのひどいものだった。
「漫画の描き方を教える」という名目で絵を描くスキルを完膚なきまでに潰された元受刑者たちのその後が気になる。読み描きできていた絵が描けなくなって「描盲」になってしまったのだから、間違いなく漫画関係者には、いや読者にもなっていないだろうが。
実録犯罪漫画ワンチャン