小学校が海に近くて、高学年の教室の窓から外を見ると、グラウンドの先には背の低い防砂林を挟んで海が見えた。
窓際の席に座っていた私は授業が退屈で、すぐに教科書から目を離して窓の外を見る子どもだった。
晴れの日も雨の日も、弱まった台風がやって来た日も。
海の様子は時刻や天候によってまるで変わるから、飽きない。晴れの日は遠くに浮かぶフェリーを探す楽しみがあるし、雨の日は窓に当たる雨の雫で歪んだ水平線を眺めた。
でも1番好きだったのは薄曇りの日の海。特に薄い雲が低く霞んで見やるような日の風景。
空の薄い灰色と、海の濃い灰色がくっついて、地平線が曖昧になってしまった風景。
それをぼやっと眺めながら、早く授業が終わらないかと待っていた。
授業が終わっても特に何にもあるわけじゃないのにね。