あの日からずっとゲーセンで格ゲーを遊んだ。ゲーム批評で「格闘ゲームあきねぇか?」と書かれても、負け犬の遠吠えにしか感じなかった。格闘ゲームはおわったとなんどもなんどもいわれて、世紀を超えて、それでも終わった終わった、初心者がいないといわれ続けても、遊び続けた。
そして、先月。突然やめた。KOF14の対戦で負けた後だった。
対人対戦に疲れ果てた。つくづく疲れ果てた。
先ほどまでの全身を駆け巡った興奮はすっかり冷めていた。いや、もう、格闘ゲームに興奮しなくなっていた。勝ったり負けたり。勝ち続けもしないが、負け続けもしない。それくらいのゲームセンターだった。急に熱が冷め、店内が暗くなったように思えた。息ができないくらいにひどい空気だけだった。
私が席を立つと、すぐに青年がコインを入れた。たぶん、私がコインをいれることはないだろう。
はやく呼吸を楽にしたいため、足早にゲーセンを出た。もう夕方だった。雨あがりの夕方だった。秋の雨のせいだろう、なにもかもが冷めて見えた。
対人対戦をやりつづけた。本当に楽しかった。そして、疲れ果てた。私はもう、本当に、疲れ果てたんだ。