2017-09-09

冬を待ちわびて

冬がすきだ。

凍てつく寒さの冬、暖かくした部屋で飲むミルクココアは至福の味だ。

ひとりソファに座り、ほくほくと湯気をたてながらミルクココアを飲む。

ぼくはあの感覚を忘れることができずに、春や夏や秋を淡々と過ごしている。

夏でもクーラーを強く効かせた部屋に遠い冬の気配を探しながら、ミルクココアをいれることがある。

しかいくら室温を下げても、いまは夏だということを身体は忘れてくれなかった。

ミルクココアをはふはふと飲んでいると、汗をかいしまうのだ。こんなのは冬じゃない。

そうして毎年、夏のあいだに冬の気配を感じることはできずにいる。

いま、まだ少し暑い秋の夜長を、文庫本とほくほくのミルクココアで過ごしている。

汗をかきながら、いよいよくるぞ、とすこし興奮している。

はやく冬にならないだろうか。ぼくはずっと待っている。

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