■駅の待合室でオバさんが、たこ焼きを食べだした。
「ぺちゃぺちゃ、ぺちゃぺちゃ」と音を立てながら。
そして、食べ終わると次はスナック菓子を食べだした。これもぺちゃぺちゃと音を立てながら。
一目見て太っている、という範囲に充分入っている彼女を見てると、なんだか俺が辛くなってきた。
「食べすぎは身体に悪いですよ」
「音は立てない方がいいですよ」
「待合室で匂いの出るものは、あまり食べない方がいいですよ」
言いたいことはたくさん心に浮かんだが、言ったところで1/100も理解してもらえないだろう。
もちろん本気で言うつもりもなかった。
彼女は明日もブクブクと太った体で、さらに食べ物を詰め込んで人目も気にせず生きるのだろう。
今まで幸福は人それぞれ相対的なものだという信念だったが、絶対的尺度の幸福というのもあるのではないかと考えさせられた。
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