電車に乗っている。
その最後部車両の突端は何故か切り込みを入れた扇状に丸まっており、それに合わせて総アクリル張りの壁もでこぼこに膨らんでいる。
車内では学生服の少年少女がじゃれあい噛み付きあい、青春を謳歌していてすこし恨めしい。
電車が駅に入ると、私は窓の(いや壁の)向うに見えた三割ほど咲き残る葉桜が何故かとても綺麗なもののように感じ、少年少女から気をそらす意味もあって壁に張り付き眺めるが、電車が動き出した途端、そこが自分の降りるべき駅だったことに思い至る。
次の駅で折り返そうとホームに下りると、ホームは広場のようなところへ繋がっているだけで改札も何もなく、どこを通って反対のホームへ行けば良いのかもわからない。配布物を並べた長机の列が、空間をなんとなく縦長に区切った広場で右往左往しているうちに、ふと机の上に簡易カードリーダーのようなものを発見し、「なんだここが改札なのか」とピッ。
「いや出ちゃ駄目じゃん!」と思ったところで目が覚めた。