2016-05-27

小早川秀秋の日

朝、いつものように朝食を食べていると、玄関のドアを開けて一人の武士が私の前に飛び込んできた。

私が納豆をかき混ぜる手を止めて「どうしたのですか」と訊ねると、その武士は「是非、我ら東軍に参加してくだされ。」と言った。

私が「今は朝食を食べてるので後にしてください。」と言うと、その武士はひどく残念そうな顔をしてそのままどこかへ行ってしまった。おそらく徳川家康に報告するのだろう。

昼、いつものように昼食を食べていると、部屋の窓を開けて一人の武士が私の前に飛び込んできた。私がスパゲティを食べる手を止めて「どうしたのですか」と訊ねると、その武士は「是非、我ら西軍に参加してくだされ。」と言った。

私が「今は昼食を食べてるので後にしてください。」と言うと、その武士はひどく落ち込んだ顔をしてそのままどこかへ行ってしまった。おそらく石田三成に報告するのだろう。

午後、いつものようにおやつを食べていると、朝に来た武士玄関のドアを開けて再び私の前に飛び込んできた。

私がお茶を飲む手を止めて「どうしたのですか。」と訊ねると、その武士は「今こそ、我ら東軍に参加する時ですぞ。」と言った。

私が「今はおやつを食べてるので後にしてください。」と言おうとした瞬間、窓の方から2、3発の火縄銃が私の足元に撃ち込まれた。

私が武士の方を見ると、「家康様もあのように怒っております。早くご決断を。」と言われたので、私は思わず「敵は石田三成。」と言ってしまった。

すると、部屋の押入れの戸が開き、中から沢山の武士が出てきた。武士達は私の前を通り過ぎると、鬨の声を挙げながら窓の外へ出て行った。

私が窓から外を覗くと、武士の群れは一直線に大一大万大吉と書かれた旗を目指して進んでいた。

私の隣では、朝の武士が同じように外を覗いていた。

私が「おやつを食べてる途中なのでそろそろ帰ってもらえますか。」と言うと、その武士は嬉しそうな顔をしてそのままどこかへ行ってしまった。

おそらく徳川家康に報告するのだろう。

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