■ウン十夜
女が静かな声で、漏らしますと言う。
女の朗らかな笑みは、とても漏らしそうには見えない。
しかしまた、漏らします、と静かな声で言う。
私も、たしかにこれは漏らすな、と思った。
女は、私の耳元に届くかどうかの声で、
「私が漏らしたら増田のどこかに書いてください。そしたら私、その増田を見た人のところに、遭いに行きますから」
いつ遭いに行くかね。と私が尋ねると、
「百ページ待っていてください」と女は言う。
私は、ずっと、増田に漏らす書き込みを続けた。
reddit10連投、日本死ね、アトピーで死にたい、キモオタの嘆き。
そういった記事の間に間に、浮かんでは沈んでいく。
するとある朝、私のパンツは、茶色に染まっていた。
百ページはもう来ていたんだなとこのとき初めて気づいた。
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