車なんてほとんど通らないくせに待ち時間だけはやたらと長い信号が近所にあって、私はほとんどの場合それを無視する。
幅員も狭いし、無視する人のほうが多い。多いと言っても人は少ないんだが。
今日も今日とて、そのそも信号なんて存在しないんだと言わんばかりに無視してやった。
「ちょっと、いい加減に怒りますよ」なんて具合に赤信号を点滅させてみたり、
「さすがにいつも無視されて悲しいです」なんて具合に濃い青になってみたりする可愛げがあれば相手してやらんこともないが、あいつはどうも無愛想でいけない。
で、道を渡りきったときだ。しゃがみこんでる小学生低学年くらいの男の子が数歩先にいて、じっとどこかを見てる。
なんだろうと思ってこっちも視線の先を追ったらそこには信号があって、ちょうど青信号に切り替わったんだ。