2015-06-01

初夏は一年で最も美しい季節だ。

日差しは眩しく、風は心地よく、木々は日ごとに青味を増す。

道を歩けば俺にとっては半年ぶり、彼らにとってはきっと1世代ぶりの虫たちとの出会いがある。

街を歩くだけで世界が美しいと思える、そんな季節だ。

数年前の俺は、仕事で朝から晩まで一つのビルの中にいて、休日夕方まで寝てそのままインスタントラーメンを食うような生活をしていた。

せっかくの初夏の美しさを味わうどころか、休日に天気がいいのに疲れて出かけられないことで、余計に悲しくなる有様だった。

酷いことだ。

こんなにも惜しみなく、分け隔てなく降り注いでいる恵みから遠ざけられるほどの、どんな重い罪を俺は犯したというのだろう。

今また同じ目に遭っている同胞たちが、一体何をしたというのだろう。

酷いことだ。

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