「そうそう、シンジ。ちょっとかぜひいているんだ。携帯の電波も悪いみたい」
「うん、わかった。それより、かあちゃん、大変なんだ」
「どうしたの?」
「えっー、そりゃ大変だ」
「この金がないと会社を首になってしまうんだ。なんとか工面してくれない?」
「いくら取られたんだい?」
「45万円、かばんに入っていた。かあちゃん、助けてくれないかな」
「なんとかならないこともないけど。ちょっと待ってな。すぐになんとかするから」
「これから1時間後に後輩が取りにいくから、そいつに渡してくれないかな」
「かあちゃん、恩に着るよ」
(一時間後)
「ごめんくださーい。シンジ先輩の後輩です。お母さんいますかー」
「あら、いらっしゃい。シンジは2階で寝てるわよ」
「えっ!」
「シンジは、自宅警備が仕事よ。いまどき珍しく携帯も持っていないわよ。あんた自宅警備の後輩?」
「・・・。」