友人は司書だ。司書とはいっても、主たる業務は棚の整理。入ってきたのを戻して、乱れているのを治す。一冊は軽いが、それが束になってかかってくるのだから、重労働だ。そして彼のつとめていた図書館は棚が高かった。耐震性にうるさい今では考えられないだろう。
髙い棚の本をとるために、踏み台やら懸架梯子などが用意されていた。それを使えば本に手が届く。
その時彼女は背伸びをして、手を伸ばし、なんとかそのまま本をとろうとしていた。たまたまそれを見た友人は、その本を取ってあげた。
本当に、きっかけはその程度だったらしい。