「百万回死んだ猫がいるらしいっすね」
「へえ~、すごいな」
「あれ、リアクション薄いですね。もしかして先輩はもっと死んだんです?」
「本当にすごい猫はな、一度も死なねえもんなんだよ。仮に死んでも、そのままスッパリ終えるのがカッコイのさ」
「なるほど! さっすが先輩!」
「あら~、お久しブリティッシュショートヘア」
「え、誰だ?」
「つれないわね~、よく見てよ、ホラ」
「あ、先輩! でも、見ない間に随分と、その、雰囲気が……」
「はあ~、なるほど……いや、別に去勢されたからといって性格まで変える必要ないのでは?」
「それもそうだな」
「それにしても、人間の勝手な都合で去勢されるだなんて不憫ですね」
「まあ、確かに人間は予防のために去勢はしなくて、病気になってから手術するよな」
「でしょう?」