2010-07-04

汚宅訪問 回避するには?

 好きなバンドの友達経由で、知り合った年下の南ちゃん(仮名)。最初友達の友達として、付き合っていたけれども、同じ沿線という理由で、ふたりで会うようになった。2年以上の付き合い、互いの悩みも相談する関係になった。そして知ったのは、彼女が心療系の病気を患っているという事。

 南ちゃんは優しすぎる性格だから、ファン友の相談やもめ事にも率先して解決していたけれども、ある日金銭トラブルを抱えたふたりに巻き込まれ、救急車で運ばれ、緊急入院した。この時、彼女は傷つきやすいんだと、知った。

 それからは、彼女の前では笑顔で、悩み事も軽い物しか相談しないようになった。それは私なりの配慮、だった。

 3月、南ちゃんの誕生日パーティーに呼ばれた。会場は、彼女の住んでる街の居酒屋彼女のお母さん、前述のバンドで知り合った共通の友人、高校の同級生と先輩が来て、お祝いをした。彼女トイレに行った時、酔っぱらった彼女のお母さんが私に行った。

「あの子は小学校中学校も殆ど行かなくて。夜間高校に通うようになって、数人友達が出来たけど、バンドを好きになるまでは仕事休みでも出歩かなかったし、笑ったり、色々話したりしなかった。だから、あの子の誕生日をこうやって祝ってくれる人が居るのが、とても嬉しい。佐伯(私・仮名)さん、ありがとうね。これからも南と仲良くしてあげてね」

 お母さんは、泣きそうになりながらそう言った。私は年上として、彼女の誘いは月に1度は聞き入れるようにしようと、決めた。

 先日、南ちゃんからメールが来た。「今度の土曜日我が家で夕飯食べませんか?お母さんが腕によりを掛けるそうなので…是非来てください」年下と思えない、丁寧な文章のメールだった。私は暇だったから、快諾した。

 そして昨日、初めて南ちゃんの家に行った。実家住まいなので、迷惑を掛けちゃマズイと思ったし、お父さんに初めて会うから、それなりにいい服を着て、お土産片手に行った。

「ちょっと散らかってますけど…」と、言われた。「私もひとり暮らしだから、凄い散らかってるよ」と、笑顔で返した。

 だが、南ちゃんの家はちょっと散らかってるレベルの物ではなかった。

 玄関のドアを開けて、家に入ろうとした瞬間、足下に落ちていた焼き魚(直)と、何か分からない肉片が彼方此方にあって、足の踏み場もない玄関だった。「猫が3匹いますんで…」私は何も言い返せなかった。

 それから、埃やゴミが隅っこに山のように溜まっている廊下を通り、リビングダイニングへ行った。やはり隅には山積みの埃と、ゴミテレビ台にも埃が山盛り。足下には何か分からない塊が彼方此方に落ちている。コバエがかなり飛んでいて、山奥の一軒家みたいだ…と、思う位だった。「好きな所に座ってください」ソファも座れる場所がない位、物が乗っていたので、ダイニングテーブルのチェアに座った。

 テーブルの上には、山積みのチラシや要冷蔵のソースケチャップ、洗っていないコップ、領収書手紙チェアに座って、数分。お尻が痒くなってきた…。

 私は傷付けたらマズイと、一緒に見ていたテレビを話題にしたり、新曲がどんなのがいいか話し合ったりして、時間をやり過ごした。

 夕飯は餃子だった。山積みの物でいっぱいのダイニングテーブルに、私と南ちゃん、そして彼女の両親と4人で食事になった。笑い話をしながら、お酒を呑みつつ、餃子のたれを作ろうと醤油を付け皿に斜めにした瞬間、醤油さしからドボッドボッと、ゴキブリが数匹出てきた。私はゴキブリが苦手なので、叫び声を上げたかったが、グッと我慢した。

 餃子は食べられないな…と、お酒を呑んで話す事に夢中になっているフリをする事にした。暫くしたら、山積みのチラシの中から生きているゴキブリが出てきた。これは正しく叫び出したくなったが、やはり大人なので、我慢した。

 でも、もっとびっくりしたのは、そんな醤油普通に南ちゃん家族は気にもせず使っている事だった。腕も足も痒くなってきて、限界に近くなってきたので、電話がかかってきたフリが出来るフェイク着信を利用して、急用が出来てしまったフリをして帰ってきた。

 今、私の両手、両足、それからお尻に赤い点がある。じんましんだ。薬はつけたが、未だ痒みが治まらない。

 逃げ帰るようにしたのに、南ちゃんのお母さんは私を気に入ったらしく「また家に来てね、と、母が言ってますんで、今度は他の友達も誘ってカレーパーティーしましょう」と、いうメールが来た。

 もう汚宅には行きたくないんですが。彼女行きたくない理由を言える程、私は図太い神経を持っていません。それに私が言った一言で、彼女を傷付けてしまったら…と、思うと、恐くて下手な事も言えません。

 散らかってるレベルは人それぞれなのは分かっていたけれども、許容範囲を遙かに超えた汚宅。あんな所に住んでて、よく病気にならないな…と、感心してしまった反面、はっきり断る方法を知らなければ大人とは言えないなと、思った。

 なんて言えばいいのかな…。ま、暫くは忙しい…で、突き通そうかな。

  • 醤油さしからドボッドボッと、ゴキブリが数匹出てきた。 どんだけ小さいゴキブリだよ。 それが「ゴキブリ」だと分からない大きさじゃね?

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