2007-01-25

サイト乗っ取り厨が狙うもの

細々とながらイラストサイトを運営している。自分の描いたイラストを展示するのが目的であるため、身近な知り合いにサイトのことは殆ど話さないし、サイトを通じてネット上の他人と交流することもない。そんな私にとって、同人板・サイト乗っ取りスレまとめに報告される様なサイト乗っ取り厨の存在不思議存在だった。他人のサイトを乗っ取ったところで自分の絵が上手くなるわけでもないし、絵を自分のものにしたいにしてもローカルに保存するだけでは不満なのだろうか?と。

しかし、それは私の考え方が間違っていた。サイト乗っ取り厨が欲しがっているものは、サイトの展示物ではない。そのサイトを乗っ取ったことにより得られるコミュニケーションを狙っているのだ。

前述のまとめサイトを読んで、乗っ取りのターゲットにされるサイトは二種類に分類出来ることが分かった。ひとつは優れたサイト、もうひとつは有用なコネクションを持つサイトだ。

優れたサイトを乗っ取ろうとした厨が必ずとる行動がある。それは『自慢』だ。優れたサイトの作者を騙って知り合いに自慢し、そこから得られる優越感を狙っている。

有用なコネクションを持つサイトを乗っ取ろうとする厨の目的はそのサイト自身にあるのではなく、そのサイト管理人の知り合いである誰かだ。本当のターゲットに取り入りたいがために知り合いであるそのサイト管理人として振る舞おうとするのだ。もう少し穏やかな場合だと、副管理人という立場になることによって友達の友達は友達理論で本当のターゲットに近づこうとする。また、コネクション狙いタイプの亜種としてそのサイト掲示板に訪れる訪問者を狙うタイプもいる。サイトの訪問者に対して管理人ないしは副管理人という『特別な立場』で関わりたいのだ。

いずれの場合も迷惑極まりない。それでも、前者の方はかわいそうな厨が自慢の種に自分のサイトを使おうとも多くは実際の知り合いであるわけでもなし、黙殺しておけばまだ被害は少ない。しかし後者は自分の知り合いを巻き込むこと必至であり、実際に自分の交友関係にダメージを与えられるというリスクを持っている。このリスクネットワークの向こうの人の顔がそう簡単には見えない今のネットの現状だと無くなる事はないだろう(ネットワークの向こうの人が簡単に分かるようになっても、副管理人タイプの手段を使った乗っ取りは無くならないと思われる)。もしかしたら2ちゃんねるの用に匿名が当たり前で個人と個人の間にコネクションが発生しないようにすればこうした騙り行為は無くなるかもしれない。

しかし、乗っ取り厨が狙っているのがサイトを通じたコミュニケーションである以上、事はおそらくイラストサイト界隈だけではなく他の種類のサイトでも起こっていると思われる。ブログSNSなどにより自分のサイトがより簡単に持てるようになったため、今後はサイトを通じて誰かとコミュニケーションをとる事はより一般的になり、より社会的な意味を増してくる。そんな中で、こうしたサイト乗っ取り厨(特にコネクション狙いタイプ)の犯罪性はより大きくなって行くだろう。自分の身の回りの人々が、ある日突然自分以外の人を自分と認識するようになった、そう考えてみると乗っ取り厨の恐ろしさがよく分かると思う。リテラシーの普及や技術的に騙りを難しくするなどの対応は、なるべく早めにとった方が良いかもしれない。

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