二階鐘樓一宇、
懸廿釣洪鐘一口、
右、
一音所覃千界不限
抜苦興樂
普皆平等
官軍夷虜之死事
古来幾多
毛羽鱗介之受屠
過現無量
精魂皆去他方之界
朽骨猶為此土之塵
毎鐘聲之動地
令冤霊導浄刹矣
二階の鐘樓一棟。
二十釣の洪鐘一口を懸ける。
この鐘の一音よ、時空を超え宇宙にひろく限りなく、
苦しみを抜き楽を与えるよう、
生きとし生ける一切衆生にあまねく響け。
官軍そしてエミシの虜囚たち、
古来幾多の者がこの地に屍れてきたことか。
それだけではない、
毛をもつ動物、翼ある鳥、鱗もつ魚たちもまた殺されてきた。
過去より今まで、その数はかぎりを知らない。
ありしものたちの魂はすでにこの世にないが
朽ちはてたその骨は奥州の土くれとなっていまだこの世にある。
この鐘のうち鳴らされるごと、大地よ鳴動し、
罪なく命うばわれしものたちの魂をなぐさめ、かれらを清浄の世界へとみちびけと。
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