水筒が割れてしまった、くじらの、黒い水筒だった。どんなに水を入れてもくじらを潤すことは
出来なくなってしまった。しかし、捨てるのも
もったいないし、風呂場に置いて使うことにした
中に歯ブラシとか髭剃りとかを置いて、浴槽の
端に置いておくことに
そうして、くじらはずっと空に向かって直立して
歯ブラシが刺さっていた
ある日、風呂に入ってるとふと
くじらを水に泳がせてやりたくなった
なので、両手で水筒を湯に沈め、くじらを
泳がせたのだった
濁った湯の中でくじらは真っ黒な身体をてかてか
見せびらかしていたよ。何度もそれを眺めて
湯から連れ出して、灯りをそれ越しにみると
くじらが飛んでいるみたいだった
風呂というのは嫌いだが、こんな風に楽しんでみるのもたまにはいいかもしれない
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