父は絵を買う人だった。
バブル好景気を受けて小金持ちだった父は、絵を買うことが多かった。
私がよくわからない絵もあったが、いまならネタになるかもしれないラッセンの絵をかっていた。
一緒に父と、母と、ああでもない、こうでもない、私はこれが好き、と話すのは、嫌いではなかった。
いまは不景気なった。
現金でぽん、と絵を買うこともなくなった、と思っていたけれど、最近またネットオークションでたまに父は絵を買う。そして額装をちゃんとして、飾っている。
にこにこして見ている父の顔が、嫌いではない。
私も先日初めて絵を買った。
一万円程度、家族の絵をオーダーした。
わたしはその絵が完成するのをニヤニヤしながら待っている。