2018-08-18

標的になる

A君ははじめの頃、若い女先生のことを少し馬鹿にしていた。

しかし、やがて忘れられない人になってしまったのだ。

きっかけとなる事件は、ある日の午後に起きた。

それは体育の授業が終わりA君が食堂に行こうとしていた時だ。

若い女先生がこっそりと後をつけてきた。

しばらくは、静かに辛抱強くタイミングをうかがっていたが、A君の周囲に人がいなくなった時、一気に距離を詰め、彼女薄い本を手渡した。

「これを読めば、きっとすごいことが起きるわよ」


ハヤカワ書房 『あなた人生科学』より

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