2016-05-12

夜型の彼女

「朝が早いのに眠れない夜はどうすればいいんだろうね。」

私は、半分ほど入ったミルクティーをゆっくりとかき混ぜながら言った。

平日昼間の、静かな喫茶店の中である太陽の明かりが漏れ込んでいる明るい路地を歩く人々が、時折中を覗いては去っていく。

瀟洒な店内には私達二人と老年夫婦しかいなかった。

クリームソーダを飲み終わった彼女は、手に持っていたストローの袋を少しつまらなそうに弄っていた。

「それは、私にはわからないわ。狐には眠れない夜なんて存在しないもの。」

その時、私は初めて彼女を羨ましいと思った。

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