延々と砂浜が続く九十九里浜では、昔から港を作ることができなかった。
漁はイワシを狙った地引網漁だが、砂浜から船を出す為には、ワイヤを引っ張ったり、傾かないように船体を支えたり、
海に入って重労働をする人達が必要となる。そのような男達は「フナガタ」と呼ばれていた。
網元・船主により雇い集められ、力を合わせて漁船を海に送り出していたわけだ。
また船が大型化するなどして人手が足りなくなると女達も借り出されるようになり、こちらは「オッペシ」と呼ばれた。
海の中にいるフナガタは素っ裸だ。オッペシについては、パンツ一丁でおっぱい丸出しだったりする。
いったいなぜ裸である必要があるのだろうか。ひとつは海の中に入って作業をする際に、服を着ていると濡れて動きにくく
邪魔になってしまうからだろう。寒い冬であっても、結局水の中で作業をしなくてはならないのだ。
濡れた服は体温を奪うし、火にあたってもすぐには乾かない。水の中に入るために、裸であることが必要だったと思われる。
これは大昔の日本の話ではない。1960年代頃でも九十九里浜の漁師は3~4人に1人が全裸だった。