先月、むかしの彼女が死んだ。
心の病にかかったというのは聞いていた。
というか、別れてからしばらくしてから再会すると、もうおかしくなっていた。もう、目を合わせてはくれなかった。こえはか細かった。
俺は俺なりに手を差し伸べたつもりだった。でも、彼女はうつろな目をしているだけだった。俺は、彼女を憎いと思った。だからもう、彼女のことを意識の外に置いた。
彼女が死んだのは俺は、俺のせいかもしれないと思った。
思いあがりなのだろうか。もう、わからない。彼女は死んだから。
ずっと、十字架ふうのものを背負って生きていくのか、と思った。聞いたときは。
それなのに、1時間後に俺は平気な顔をしてガパオライスを食っていた。
なあ、死ぬほど辛かったのか?
先週、彼女とはじめてお酒を飲んだ店に別の女を連れて行った。どんな気持ちになるだろうという、意味不明な興味もあった。
女とは盛り上がった。初めて手を繋いだ。初めてキスをした。彼女と、初めてお酒を飲んだ店で。
いま、この文書を打っていているのは、彼女にふざけた男だと、呪って欲しいからなのかもしれない。