2015-05-23

生きて欲しかった

 先月、むかしの彼女が死んだ。

 心の病にかかったというのは聞いていた。

 というか、別れてからしばらくしてから再会すると、もうおかしくなっていた。もう、目を合わせてはくれなかった。こえはか細かった。

 俺は俺なりに手を差し伸べたつもりだった。でも、彼女うつろな目をしているだけだった。俺は、彼女を憎いと思った。だからもう、彼女のことを意識の外に置いた。

 

 彼女が死んだのは俺は、俺のせいかもしれないと思った。

 思いあがりなのだろうか。もう、わからない。彼女は死んだから

 ずっと、十字架ふうのものを背負って生きていくのか、と思った。聞いたときは。

 それなのに、1時間後に俺は平気な顔をしてガパオライスを食っていた。

 なあ、死ぬほど辛かったのか? 



 先週、彼女とはじめてお酒を飲んだ店に別の女を連れて行った。どんな気持ちになるだろうという、意味不明な興味もあった。


 女とは盛り上がった。初めて手を繋いだ。初めてキスをした。彼女と、初めてお酒を飲んだ店で。

 いま、この文書を打っていているのは、彼女にふざけた男だと、呪って欲しいからなのかもしれない。

 

 

 なあ、死ぬことはなかった。死ぬことはなかったんだよ。

 

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