2014-07-26

ひとつさよなら

「これはひとつさよならだ。」

そう言って最後ハグを求めた。

何日か前からそれはわかっていた。

その時まで自分の甘えを許してしまった。

ひどいと思いながら、自分を許した。

そしてそれを彼女のせいにした。

それは本当は自分へのさようならだ。

彼女に恋していた自分へのさようなら

本当はそこに彼女はいない。

僕はその儀式彼女を利用した。

最後ハグを受け入れてくれたのは彼女のやさしさだろうか。

少し長いハグだった。

最後に鼓動がひとつおおきく鳴った。

お互いの今後の幸運を祈りハイファイブ

エレベーターの中で気持ちのよい最後を演じきったことへの満足感じながら、淋しい自分を演じる準備をした。

セントラル駅に向かうトラムに乗りながら、彼女が少しでも淋しい思いをしないだろうかと祈っていた。

自分勝手についてはきっと僕が一枚上手だ。

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