僕はそのパン屋にだいたい週に一度くらいパンを買いに行く。
だいたい店に客は少なくてオヤジは客が入ってくると、
裏でパンを作る手を止めてレジに出てくる。
僕は無愛想なオヤジにできるだけ愛想良くお金を払ってパンを買う。
別に特別美味しい訳じゃないし、そんなに品揃えが豊富な訳でもない。
値段だって特別安い訳でもない。ごくごく普通の、昔ながらパン屋さんだ。
僕だって本当に美味しいパンが欲しい時は近所の人気のパン屋に行くし、
決して少なくない種類のパンを毎朝早くから焼いてると思うと、
すごく立派なことだなぁと思うのです。
特別に美味しい訳でもない、特別に変わったパンがある訳でもないけれど、
それはそれでオヤジの実直な人柄が現れているように思えるのです。