あるアリの巣のすぐ側に、キリギリスがいた。
冬が近いというのに、キリギリスは女の子をナンパしたり、音楽を奏でたりして気ままに過ごしていた。
とある日、冬支度をせっせと進めていたアリは、キリギリスを心配して
「冬支度をしなくて大丈夫なの?」
と訪ねたが、キリギリスは
「僕はそんな未来のことなんて気にしてないよ、今さえ良ければそれでいいのさ」
と答えて取り合わなかった
そうこうしているうちに本格的な冬が来た。
アリは、暖かい家と溜め込んだ食料で何とか過ごしていた。
しかし、アリ達が「懲りて食べ物を恵んで貰いに来るだろう」と思ってたキリギリスが、冬の半ばになっても来ない。
訝しんだアリ達は、有志を募ってキリギリスを捜索することにした。
「怠け者のキリギリスのことだから、すぐ近くにいるだろう」と、余裕の表情のアリの捜索隊が巣を出ると・・・巣の目の前にキリギリスの死骸があった。
キリギリスを巣に運び込んだアリ達は、餓死か凍死かを賭けたりしながら、キリギリスの死因究明を待った。
アリ達は悲しくなって、泣いた。
キリギリスの死骸は、翌日の晩御飯に出た。