「○○に行きたい」とか「○○で××したい」などの願望は旅行の動機にはならない。
どちらかというと「旅に出なくちゃ!」とか「○○へ行かなきゃ!」という衝動のせいである。
その国が私を待ってはいるわけがないのだけれど、へんな使命感で胸がざわめいて、そわそわする。限りなく恋のときめきに似ている。つまり旅行は自分の恋を成就させに行くようなもので、そして恋は一人でするものだから、いつも一人で行く。もちろん寂しいし、誰かと添いたくなるけど、旅行が終わると一人で行ってよかったと思う。この旅行は私のものだ、という満足感がある。誰かと分かち合うこともなく、まるっと自分の記憶にのみ残る。
文字にするとなんだか支離滅裂だし「若いなぁ」とか「痛いなぁ」といわれそうな感情だけれど、こればっかりはどうにもならない。