2011-11-14

もしも松屋一目惚れしたら

いつもの券売機で食券を買い、カウンターに座る。

定員が注文を確認し、食券の半分をもぎっていく。

夕飯どきで忙しいのだろう。なかなか僕の牛丼は出てこない。

暇つぶしに店内を観察すると、対面にキレイ女性が座っていた。

ちょっとくたびれたスーツ姿に、白い肌。後ろで束ねきれない前髪が顔にかかっている。

その赤い唇にご飯を運んだ後、口を手で抑える姿も可愛らしい。

完全に恋におちてしまった。

マスター、あの娘に生卵を」と僕は言った。

店員が彼女のところに生卵を持っていく。

彼女は初め驚くが、店員の説明を受け、こちらを向き、軽く会釈をする。

僕は、いつしか受け取った牛丼どんぶりをもちあげ、彼女を見つめながら

「君の瞳にいただきます

とつぶやいて、箸を二つに割った。

その頃、近くのすき家では、強盗が「金を出せ」と叫んでいた。

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