何の役に立つのか分からないが、08年の一連の金融危機が日本に与えた影響を中心に、俺が覚えているうちに記録する。
08年夏~秋;
金融危機→信用収縮,株価が暴落(金融機関が流動性選好。企業や個人に金を回さなくなる)。夏~秋にかけて不動産関連がぼっこぼっこ潰れる。「不動産・ゼネコン・マンション 大激震」(経済雑誌特集)。アーバンコーポレーション(8月倒産)など、ただ、冬になると倒産ラッシュは一服する。
08年秋;
高額の耐久消費財の需要が凍結。日本の支柱である自動車セクターが「全滅」(特に高額の大型車・トラックへのインパクトが大。法人・個人に対して”金融がつかない”現象が世界的に発生)。自動車セクターは値下げよりも減産による数量調整で対応(当時のアナリストレポートによると在庫日数は200日を上回り、工場稼働率50%はザラだった)。人員は派遣切りでの雇用量調整。正社員に対しては賃金調整で済ませ雇用は「死守する」(各自動車メーカー首脳)。多くの製造業関係者が「リーマンで潮目が変わった」と表現していたのは興味深い。”潮目”とはいったい何なのか、そして、何によって変動するのか。
08年冬;
・若干遅れて一般消費財へのインパクトが来た。日本経済にとって衝撃が大きかったのは電機セクターである。「総合電機3Q決算が”総崩れ”」「電機全滅」(経済雑誌記事)。最終商品としては、テレビなどAV機器、PCなど情報通信機器の需要が凍結。デバイス関連も、HDD関連(PC)、半導体(家電、自動車)、液晶(テレビ、ナビなど)、それぞれ大打撃。総合電機の全セグメントが大幅な減収減益に陥るというかってない自体になった。自動車と違って、このセクターは数量調整に加えて価格下落も激烈だった。例えばシャープの液晶テレビ・液晶デバイスは暴落し、液晶工場の稼働率は3割ぐらいにまで下がった。
・失業率は、アメリカも日本もそうだが、この時点ではまだ全然織り込まれていなかったが、向こう1年かけて、徐々にあるいは急激に反映されて行く。
・このころになると小売り・外食にも寒風が吹いてくる。平均的な外食店、小売店の既存店は軒並み前年同月比90%という壊滅的な数字を出していた。しかし好調だった業種もある。百貨店で売られる高額商品・サービスに代わって、低価格路線を打ち出す幾つかの企業(ユニクロ、餃子の王将など)の方に波がきたのである。それをマスコミもこぞって取り上げ、消費者の新たな嗜好が醸成された。少し前まで高額なブランドショップに人が集まっていたのが嘘のようだ。時代の空気とはすごいものだ。
この冬には「世界恐慌(経済雑誌特集)」、「100年に一度の危機」とまで危ぶまれ、大混乱の状況の中で、各国の株価は大底をつけた。しかし、各国の金融機関テコ入れや、消費財への景気刺激策が奏功し、こういった悲劇的なワードが鳴りを潜めたってのが09年。財政政策を否定する経済評論家は多いが、現場の実感から言えば、金融危機のショックアブソーバーとしての財政政策は極めて有効だった。もしそれが実施されなかったらと考えると、身の毛もよだつ。
それ以後の話はまた、時間があれば書く予定。