2009-11-09

http://anond.hatelabo.jp/20091109174350

あとリフレ派なんてものはありませんよ。リフレ政策をバカにする人たちがつけたレッテルだと思っています。

私が言ってるのは、http://wiki.livedoor.jp/reflation/ にリンクしてるバナーです。リフレ派というのは、バカにする用語なんですか?いちご等で自称していたのでそうは思いませんでした。申し訳ない。

それでは本題。

Q1. デフレはよくないのではないか?

A1. デフレインフレもよくない。

まず最初からおかしい。マイルドインフレが一番望ましいというのは世界経済学者のほとんどが賛成する。たしか、そういう統計がどこかにあった。

 デフレインフレもよくない、これは、共通認識です。ただし、どちらかといえば低いインフレのほうがいいと考えている学者が多い。君の指摘は、揚げ足をとってるだけ。「Q1.1緩やかなインフレは悪いことですか? A1.ゼロインフレが好ましいので金融政策でゼロに近づけるべき」 という記述があって、「池田は主流の学者意見が違う」と言える。それでも、1+1=3のような間違えではなく、主流の学者と違う意見を持っているというだけだ。

 また、その場合にも、「たしか、そういう統計がどこかにあった。」いうような指摘は、学者を非難するのにはよろしくない。たとえば、「JEFFREY ROGERS HUMMEL (2007) Econ Journal Watch, 4, 46-59 にMost macroeconomists now favor a low but still positive rate of inflation. という表記がある。だから、池田意見は主要なマクロ経済学者の意見とは異なる」というように、ちゃんと文献をあげるべきだ。

 加えて次のECBHPを見てほしい(これは、Q2にも関係する)。普通中央銀行がかなりゼロインフレに近いインフレ値が好ましいと考えているのがわかる。

Reasons for aiming at below, but close to, 2%

Inflation rates of below, but close to, 2% are low enough for the economy to fully reap the benefits of price stability.

It also underlines the ECB’s commitment to

中略

# take into account the possibility of HICP inflation slightly overstating true inflation as a result of a small but positive bias in the measurement of price level changes using the HICP

http://www.ecb.europa.eu/mopo/strategy/pricestab/html/index.en.html

 以上のように、ヨーロッパ中央銀行は、HICP(Harmonised Index of Consumer Prices )で2%以下かつ2%に近いHICPを誘導目標としている。しかもHICPは、少量のポジティブバイアス(実際のインフレ値より少し多めにでる)性質がある。だから、ECB目標としているマイルドインフレは、かなりゼロインフレに近い。

Q2. 日銀はいくらでも紙幣印刷できるのだから、インフレにできるのでは?

A2. ゼロ金利状態では貨幣需要が飽和しているので、中央銀行マネタリーベースを増やしても銀行の貸し出しが増えず、市中に流通するマネーストックは増えない。

はい。これもおかしい。いわゆるバーナンキ背理法を理解していない。

 まず、バーナンキ背理法は、日本ネット社会に広がったスラングである。普通の「(経済)学部生が習うような」教科書に載ってるようなものではないし、(世界)標準の経済学者が使う用語ではない。バーナンキは、彼の師匠であるフリードマン敬愛をこめて、お金を刷ってヘリコプターで撒けばインフレになると言っただけである。それを日本人が変な名前を付けた。これは、無限お金を刷って(金融政策)撒けば(財政政策)、いつか・どこかで・なんらかの規模の物価上昇が高確率でおきるであろうとしか言えない。ヘリコプターマネーをすれば、適正な物価が保てるというものではない。

 それは、上記したECBHPにも見られる

provide an adequate margin to avoid the risks of deflation. Having such a safety margin against deflation is important because nominal interest rates cannot fall below zero. In a deflationary environment monetary policy may thus not be able to sufficiently stimulate aggregate demand by using its interest rate instrument. This makes it more difficult for monetary policy to fight deflation than to fight inflation.

 ヨーロッパ中央銀行ですら、「デフレ時には、金融政策で総需要の刺激ができなくなり、デフレに立ち向かえなくなる」と言っている。デフレ時に、金融政策(マネタリーベースを増や)しても、デフレ克服は難しいというのは、池田日銀だけじゃなく少なくてもヨーロッパ中央銀行意見でもある。

 また、「ゼロ金利状態では貨幣需要が飽和しているので、中央銀行マネタリーベースを増やしても銀行の貸し出しが増えず、市中に流通するマネーストックは増えない。」というのは、おそらく池田が嫌いなケインズ学派の流動性の罠という考え方であり、教科書に載っている。

記事への反応 -
  •  池田信夫。  マクロ経済学の専門家ではないと自ら述べている点を指摘して、「門外漢が口を出すな」とは言わない。  ただ、(経済)学部生が習うような単純なことの認識が間違っ...

    • 大二病悪化させて、自分のブログにリフレ派のバナー付けないようにね。後々、恥ずかしい思いするよ。

      •  具体的にわたしのおかしな点を指摘してください。  あとリフレ派なんてものはありませんよ。リフレ政策をバカにする人たちがつけたレッテルだと思っています。

        • あとリフレ派なんてものはありませんよ。リフレ政策をバカにする人たちがつけたレッテルだと思っています。 私が言ってるのは、http://wiki.livedoor.jp/reflation/ にリンクしてるバナーで...

          •  わたしの指摘が揚げ足取りと間違いであったことはわかりました。  あなたの説明は過不足なくわかりやすいものでした。  けれども、池田信夫氏の意見に賛成しているようでもなさ...

            • 逆に、恐縮させてしまって、ごめん。 同じような揚げ足取りを、経済学者もやってるから、恥ずかしいことじゃない。 http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20091109/p1 内容は、私が書いたこととほぼ...

              • 第二に、人々が預金を使い始めた将来、国債が売れなくなります。国債の多くは、金融機関が、個人からお金を借りて(預金で)買っています。ですから、人々が預金を使い始めたら金...

                • これは、ライフサイクル仮説というので説明されることが多い。  一般的に、老後の貯蓄率<若者の貯蓄率で、老人が増えて若者が減れば、国全体の貯蓄率が減る。2000年以前は、日本...

                  • 昔なら現金で貯蓄してたのを、株とか債権とか貸し駐車場とかに変えて貯蓄代わりにしてるんじゃないの? そういうのを完全に統計取るのって難しそうだし。

                  • 国全体で貯蓄率が減るからといって老人が取り崩したお金が消えてなくなるわけではないですよね。 外国にでてくのが増えるとしても外人が保有する円口座に移るだけであって結局銀行...

      • バナーつけただけで恥ずかしい思いはしないと思うが。 アドセンスとかもっと変な広告うじゃうじゃあるし。 個人的には民主党信者がもっとリフレ批判するのを希望してる。 記者会見...

    • 天然って言われる?

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