駅の周りは道が狭く、雑居ビルがところ狭しと並んでいる
そんな狭いところに駅直通のデッキを作ってしまって、デッキ上では周りの小汚いビルが目に入ってしまい
飲食店は軒並みラーメンと居酒屋、カフェバーとか言うただ高いだけのランチボックスに淘汰された
どうあがいてもつめ込まれたブロイラーのくせに、イメージだけは立派なところも気にいらない
それらの穴は現れては消え、現れては消え、その度に街にポッカリと穴を開けていく
まるで俺が記憶障害を起こしているかのように、あった店が消え、穴だったところに詰め込まれていく
夜になれば裏通りから風俗の呼び込みが現れ、天下の往来で立ち止まり品定めをする
駅から5分も歩けば、死んだような個人経営の店と、人が住んでいるのかどうかも定かではないような生気のない家が立ち並ぶ
典型的な旧道だ
人の姿のない細い道を車が列をなして進んでいくのは、ディストピアのベルトコンベアのようだ
薄暗く、埃っぽく、生気がない
古いだけの旧家が多いせいで区画整備も出来ず、人が十分に生活できるスペースを作れないために生活環境と線路が密接してしまっている
この陰鬱な映画から抜け出すには、目の前の事を少しずつ片付けるしか無い
部屋の引き払いまであと3週間