今思えば、体が弱くて甘えん坊の妹に対抗する赤ちゃん返りもあったと思うけれど。
深い眠りにつく、まどろんだような寝ぼけているような状況で、突然「自分の死」を想像し、怖くなる。恐怖で一瞬、目が覚める。というより、眠りがとても浅くなって、という位かもしれない。
大泣きすることはなくなったけれど、怖くて怖くて、夜中に思わず「やだ、いやだいやだいやだ、こわい、こわい!」と叫んでまた寝る、ということは断続的にずっと続いた。月に1度よりは少ないとは思うけれど。
大学時代に恋人ができたとき、不思議とその頻度はぐっと下がった。けれど、年に1、2回くらいは恐怖に叫んでいる。朝、恋人に「夜中、寝言ですごい『嫌だ嫌だ』って叫んでいて起きちゃったよ、怖い夢見てた?」と言われたこともある。私はその時の記憶があったけれど(瞬く間ながら、怖くて目がさめる→思わず叫ぶ→寝る、という順番なので)、「寝ぼけて死ぬのが怖くなった」と正直に言うのも気恥ずかしい気がして、覚えていないとごまかした。
眠りの隣の死の恐怖は今も続いている。幼い頃と比べ、闘病の末親族が死に、大学のお世話になった先輩が20代で死に、馴染みの芸能人が死に、多少、死生観も変わっているんだろうと思う。親戚が熱心な仏教徒で高校がプロテスタントで、いろんな解釈もかじってはいる。
いつか、恐怖に目を覚ますことはなくなるんだろうか。……そんな日が来たら、それこそ、寿命の時のようで、それも怖くはあるんだけれど。