2015-01-08

iPhoneを売った

私が唯一持っている電話機だった。

契約自体は生きているから、ぶっこ抜いたSIMをなにがしかの端末に挿せば通話できる。だけど、そのつもりはない。

上司は怒りを通り越して、あきれを通り越して言葉を失っていた。

同僚や後輩は腫れ物でも扱うように私と接する。

音信不通を問うPCメール郵便物が得意先や実家から来たが、何と返事をしたら良いか分から放置したままだ。

もう限界だった。

アフター12になっても鳴り止まないiPhoneiPhoneを耳に当てながら何度も頭を下げる私、土日も祝日関係ない。

電話を手放したことがどれだけ常識外れかは自覚している。

でも、そうするよりほかなかった。

精神と肉体の限界が迫っていて、もうあと少しで電話ではなく中央線を止めるところだったのだ。

これから、どう生きていこうか……

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