2014-05-08

食事と煙草と広がり続ける断絶と

つの間にこんなことになってしまったんだろう。

昼食を食べようとしばらく足を向けていなかった定食屋に向かい、店内に一歩足を踏み入れた途端に煙草の煙が目に染みる。

「あ、ここもか」と反射的に感じる。

この数年、俺の働いている街では喫煙可の店と不可の店で客層の二極化が進み、喫煙可の店はほぼ喫煙者専用、さながら新幹線喫煙席のような状況になっている。

煙草の吸える店が減っているのだから喫煙者たちが残された喫煙可の店に集まるのは当然の話だ。

同じ場所で働いている人間たちの喫煙率はそう簡単に変わらない。

別にそれについて文句を言うつもりもないし俺にはその権利もない。

店に集まる客たちは法律と店のルールに従って煙草を吸っている。文句を言う余地はない。

今や少数派となった喫煙者たちは煙草の吸える店が減ったことを嘆きながら、自分の頭にインプットされた数少ない喫煙可能店舗をローテーションしている。

店は分煙にかかるコストと全席禁煙にしたときに失う売上を考えて全席喫煙としたのだろう。立派な経営判断だ。

ただただ、俺は周囲に漂う煙を堪えながら食事を終え、「この店には二度と来れないな」と悲しくなるだけだ。

全ての煙草が無煙煙草に代わる日を夢見ながら、俺は最後会計を終えて店を後にする。

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