10年ほど前、僕はFisherだった。僕はFishを愛していた。念の為に説明すると、Fishとは《アトランティスの王/Lord of Atlantis》を採用した青系のマーフォークビートダウンデッキのことだ。当時のスタン環境は6版+マスクスブロック+インベイジョンブロック。この頃、Fishは主流ではなかったが、地味に強かった。当時のFishは《衝撃のマーフォーク/Jolting Merfolk》や《ヴォーデイリアのゾンビ/Vodalian Zombie》などMTG史上稀に見る良質なマーフォークたちを抱えていた。《海のハンター/Seahunter》から《衝撃のマーフォーク》を引っ張ってこれるのは大きい。《陥穽/Ensnare》も強かった。《妨害/Thwart》《撃退/Foil》というビートダウンと相性のいいカウンターを抱えていたのも大きい。もはや、今釣りをせずにいつ釣りをするという環境だった。僕は青黒Fishを愛用してブルーオーブやライジングウォーターやFiresを釣りまくっていた。
とはいえ、《吸収/Absorb》を手に入れた青白コンが隆盛を極めた時代でもある。青白コンといえばラスゴ、この常識がFishには辛かった。カウンターを抱えている分Firesよりは幾分耐性があるにはあるが、基本毎ターン土地をフルタップするビートダウンで、カウンターは多大な犠牲を払って《妨害/Thwart》《撃退/Foil》ピッチで打つしかない。もちろん《対抗呪文/Counterspell》も積んではいるが、対抗呪文のために青二マナ残すようなプレイングでは釣り師の名が廃る。つまり、青白の放つラスゴは凌ぎきれない。対青白コンの勝率はべらぼうに悪かった。