2013-02-05

調べ物をしていたら、静謐という単語が現れた。

静謐という単語意味が全くわからないわけではないが、さてそれでは厳密にどういう意味言葉であったのか、と思うと自信を持って答えることができなかったので、辞書を引く。

1静かで落ち着いていること。また、そのさま。「深夜、書斎に過ごす―なひととき

2 世の中が穏やかに治まっていること。また、そのさま。「―な世情」

なるほど、と思いかけたものの、静かで落ち着いていることを表現したいならば、単に静かではいけなかったのだろうか。静寂は。閑静は。静穏は。

静謐という言葉には、辞書に表しきれない膨大なバックグラウンドがあるはずである。それを今に続く多くの人達静謐という言葉に託して、そしてまた多くの人達がその文脈から静謐という姿形を受け取って、今にある静謐という言葉を形成してきたはずだ。

辞書はその性質上、その蓄積された単語バックグラウンドの全ては表しきれない。単に必要最低限の言葉のみ残して捨象している。私たち辞書を引くとき辞書単語ぼんやりとしたイメージを私達が既に持っていることを前提にしている。辞書から言葉の全てが把握できるわけではない。私達が会話や思考を重ねてはじめて、言葉は背景を豊かに蓄積する。

言葉というものはそういうものだと思う。

  • 広辞苑とか言泉とか国語大辞典くらいのでっかい辞書だと、例文の所に実際の文学作品の引用が出てくるよね あれは、そういう先人がその単語に込めたニュアンスを、部分的にでも伝え...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん