2010-02-11

トヨタリコール問題にみる、クレーム処理の適切な対応(1)



 トヨタリコール問題だが、なにあれ? ちょっとプロとしてあの態度はまずかったと、正直思った。実際のところ、正しいクレーム対応は、トヨタ社長の対応があれが適切な対応なので、その点は安心なのだけど、やはり慢心はトヨタ幹部の中に巣くっているのだということがありありと感じられた事件であった。

 結局トヨタリコール問題は全権が社長に(つまり最も適した対応が出来る人に)委ねられることになり、その後沈着していくと思う。

 なので、ちょっとこれを機会に、適切なクレーム対応というのを書いてみたい。

 俺のスペックは、

 ・EC系の会社でいわば店長みたいのの経験が長い。

 ・会社ではなにかトラブルが起こると、危機対応の人間として呼ばれる。

 ・連絡手段は主にメール電話とかも出来るけれど、効率が悪いのでメールのみ。

 ・お金が動いている状況でシステムトラブルが発生し、千人ぐらいの個別のクレームメールを二時間で処理した経験あり。

 まあ、ぶっちゃけメールクレーム対応のプロって事で。

 ■誤った対応の典型例

 1.最も的確な情報を伝えることにより、相手に理解して貰う

 これ、一見するとすごく正しいように見えるんだけど、実はこれNG。

 トヨタが取った対応はまさにこれで、こんなのがパンピーに通じるわけないじゃん、あほか。

 例:

 ある時間帯に決済サーバー不具合が発生。客は決済されたものと思っていたが、実際には注文が出ていなかったという状況。

 お客さんから、注文したのに商品が届かないという問い合わせが殺到中にこんな対応。

 ――――

 大変申し訳ありませんが、その時間帯は決済サーバー不具合が発生しておりまして、その時間帯には決済がされていません。ですので、注文もなかったことになっております。ですので、ご安心下さい。

 ――――

 これは何で駄目なのか。

 分かります?

 (a)お客さまは決済サーバーがどうこうなどどうでもいい

 内部の機構などお客には関係のない話。第一サーバーなどと言われても、それがなんなのか分かっている人など皆無で、お客が怒っている地点と、説明している地点があまりにも違いすぎる。んな、内部の都合の話をされてもお客は迷惑なだけ。

 (b)お客さまはもう払った気持ちになっているので、安心できない

 少なくともWebの画面上は払ったよという文字が出ちゃっているのだから、もう相手は払ったものと思っている。なので、そこで180度転換して、払ってないことになっていると言っても、それはお客を疑心暗鬼にさせるだけで逆効果

 (c)注文がなかったことになっているというのが言い訳がましい

 お客さまのクレームは、「商品が届かない」であって、それに対する手当をしないと行けない。注文がなかったことになっているというのは、完全にお客のクレームとずれている。商品が届かない落ち度を責められているのに、注文がなかったことになっているなどと言っては火に油を注ぐことになる。

 さて、いったいなにがまずいのだろうか?

 これは簡単である顧客視点がまったくなく、自分の都合ばかりを説明しているのである。

 このとき考えるべきなのは、

 (ⅰ)お客さまは何にお怒りになっているのか。

 (ⅱ)それを和らげるためには何をした方がいいのか。

 (ⅲ)どうやって、お客さまに対する説明責任を果たせばいいのか。

 である。

 お金を貰ってサービスを提供する以上、お客さまに対する責任がある。

 その責任放置して、自己弁解に徹すれば、炎上するでしょ当然と。

 なので、

 トヨタプロ意識のなさは異常。

 お客は怒ってるんだよ! あほか!

 2.相手に対して卑下的に対応し、相手の言いなりになる

 これが駄目なのはまあ分かりやすいところで、まあぶっちゃけいいようにされるだけ。

 ごめんなさい、すみません、こちらが悪かった。

 この言葉はNG。

 もしこちらに否がないのであれば、絶対に謝ってはならない。

 これたぶん、多少高度な部類に入るのだけれども、クレーム対応の基本は、

 (a)謝る範囲は、自分に否があった範囲のみ

 ようは、クレーム対応は交渉なので、どこで着地するかをちゃんと見極めた上で、適切に対応しなければならない。で、相手にこの交渉は損したと思わせてはいけないので、なんとかして上手い着地点を見つける必要がある。こう書くとすさまじく高度に見えるのだが、そうではなくて、相手に自分は多大な損害を受けたと錯覚させてはならないのである。

 あー、そんなにたいした損害ではなかったと思わせる必要がある。

 で、謝ってしまうと、相手は被害妄想をどんどん膨らませてしまう。

 これを助長してはいけないわけで、まあ簡単に言えば、クレーマーを甘やかすなということ。

 (b)こちらの失点ではなく、お客さまの気持ちに焦点を当てる

 これも若干高度。

 お客っていうのはこっちがミスったせいで、こっちがこんなひどい目にあったとクレームしてくるわけで、それに対して、「こっちのミス」サイドで話をしても何の意味もなくまったくの不毛炎上に繋がる。

 もうね、ど素人はさがってな、特にトヨタとかバカじゃないの? あー、社長はいい奴だけど、あんなのよくいたね、あんなくずみたいなトヨタに、と毒づきたくなるが、まあ、こんなの小学生に飲ませる小便みたいなもんなので、まあ、もうちょっと辛抱強く聞いてくれよ。

 まあ簡単に言えば、クレーム処理ってのは相手の気持ちをいかに収めるかの問題であって、こっちのミスの追求は、社内の都合なんだよね。んなもん、どうでもいいわけで。

 だってさあ、目の前にメールが投げつけられて相手は激怒してる。

 でさあ、いやそれは、フィーリングの問題でしょ、とかありえねwww

 どんだけド素人高慢ちきなんだよwww

 もうね、ここまで読めば分かるでしょ、あり得ないの、あの対応。

 どんだけ無能でプロ意識がないの?

 そんぐらいいわれても文句言えないよねえ。

 なんか反論ある?

 で、まずさ、大切なのはどこ?

 なんでお客は怒っているのかでしょ?

 だって、200万円も払ってプリウス買ってくれたお客だよ?

 200万円だよ? 分かる? 200万円の買いものだよ?

 で、お客が怒ってるんだよ?

 100円のガム買って不味いって言っている客じゃないんだよ?

 200万円の商品を買って、死にそうになったと言っているお客だよ?

 商売する資格がない人たちだよね。

 で、こう書いてくれば、分かるとおり、まずお客さまの不安を取り除くことが重要になるわけだ。だからこういう時に適切な言葉は、「怒られているのは大変申し訳ない。ぜひその怒られている原因を識りたいし、それは改善したい」なのであるわけで。

 それはフィーリングの問題だか…。

 すさまじすぎる…。

 お客の不安を解消しないと駄目なわけで、それはフィーリングで、つまりこれはお客のせいにしているわけだねえ…。

 こいつら、プロ失格どころか、商売する資格はないとはっきりと分かる。

 まあ、トヨタは腐っているわけだ。

 社長だけが最善の人間なのでそれだけが救いなのだが。


 (つづく)

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