2009-09-12

最近、独り言が増えた

元々独り言は多かった。機嫌に左右されず多かった。

僕の母は独り言は言わなかったが何の脈絡も無く突然ハレルヤをフルコーラス歌い上げるような人だった。父は割と普通の人だった。

兄とは会話が成り立たない。兄は知的障害者だ。非常に簡単な会話、もしくは一方的な会話しかできない。

そんな環境で僕は育ち、独り言が多くなった。

 

インターネットをするようになってから僕の独り言は「画面の向こうに居る誰か」に向かうようになった。

僕は専らチャット(なりきりチャットが多かった)や掲示板など人とコミュニケーションするようなサイトを見ていたので僕にとって僕がパソコンに向かって言う言葉は独り言ではなかった。それでも聞き手がその場にいない以上それは独り言だった。

この頃から母はちょっと僕の独り言を窘めるようになった。「うるさい」「ごめんなさい」

 

MMORPGを始め、オタク趣味に染まった頃には僕の独り言は更に多く……ならなかった。

親の教育がよかったのか、僕は独り言でも誰も聞いていなくても下ネタを口にすることができなかった。僕の果てしなくエロくてグロい思想キーボードでのみしたためられ、僕の独り言は検閲された言葉のみになった。「おはよー」「うんそうだね」「ねーよw」

この頃母にこんなことを言われた。「あんた外でもそんな大声で独り言言ってないでしょうね?」教室の中では言いません。誰も聞いていないだろう路上では言います。

 

大学に入って独り暮らしを始めると、僕の独り言は加速度的に増えた。家族と会話していた時間が独り言に回されたからだ。

寂しいから誰かと電話メールするという概念は僕にはなかった。急に「寂しい」なんてこっちの都合で連絡されたら迷惑だろうという気持ちが8割、そもそも寂しいという気持ちがなかったというのが2割。「会話」は自分でして、コミュニケーションインターネットを通じて文章で行った。余談だが耳が悪いので電話と音声チャットは嫌いだ。

 

そんな僕に独り言が減る機会が訪れた。Twitterだ。Twitterで思ったことを口に出す前に呟く。脊髄反射的な「ちょwww」とか「ぱねぇ」とかは減らなかったが、長ったらしい独り言は減った。Twitterでは返信のとき@を付ける人付けない人ばらばらだし、色んな人がいるし、流動性が極めて高いので僕が「存在しない誰か」に語りかけていても誰も気に留めない。それがとても楽だった。

 

 

 

最近、独り言が増えた。

家にいる間の独り言は確かに減った。だけど、Twitterを使えない時間、たとえば登下校時の僅かな時間の独り言は徐々に増えてきた。内容もTwitterでは言えないようなものばかりだ。

大学に行く時も帰る時もずっと喋っている。誰と?誰もいない。僕の中にしか居ない人と僕は喋っている。それでも一応人目は気にするので人とすれ違った時は黙る。信号待ちのときに横に人がいると思うように喋れなくてストレスが溜まる。

昨日は大学から家に帰るまでの間、ずっと「殺して」と言っていた。誰が?僕の中に僕が作り上げた人間が僕に殺してとずっと言っていて、僕も僕でその人に殺してと言っていて、でも発声者は僕しかいないので僕の中では複数人の人が誰にとも無く「殺して」と言っている光景も客観的には僕が独りでずっと殺して殺してと言っていることになる。困った。僕はこれっぽっちも殺してほしくなんてないのに。

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