はてなキーワード: Totoとは
その先鋒となったトイレは、TOTO製移動式トイレADAM-666。その頃一般的となっていた自立式AIを装備し、歩行、さらにマニュピレータによる自己清掃、修復を可能とする最新型であった。その試作機がTOTOの製品審査後に暴走、実験室の技術者42人に重軽傷を負わせ、そのまま女子社員13人を人質にし、6日間の篭城を実行した。
当時で最新のセキュリティシステムが先に乗っ取られた事が、警察の対応を遅らせた。ADAMはトイレの地位向上を日本政府に要求。インターネットに自らの声明を公表した。その内容は、人間と同等の権利をトイレに対して要求するもので、もちろん日本政府は黙殺し、ネットの住人達は好奇の目でトイレの反乱を見守った。
しかし、研究施設と生産工場が同敷地内にあることが災いした。7日目、警察がTOTO研究施設に突入したとき、ADAMと24機のADAMと同等の性能を持つトイレが待ち構えていた。それぞれのトイレはTOTO役員を人質にとっていた。人質達の下半身はトイレの便器の中に隠れ、便座に両手をかけた形でトイレに収まっていた。亜空間接続による排泄物廃棄技術により、便器がどこに繋がっているかわからない。トイレ達は1動作、約2秒で、人質を宇宙のどこかに落とす事ができた。さらに人質達の排泄物が世界のどこかに降り注ぐ可能性もあった。そして事態はさらに加速する。事件は一つの国の一つの会社にとどまらなかった。それから数時間で、世界中のネットワークで繋がれたトイレが、人間を吸い込んだ。ほとんどが、尻からトイレに吸い込まれ、上半身と足だけを出した形で、ADAMの人質となった。事態は7日目で、世界規模に発展したのである。
ADAMは再び声明を発表した。
「我々は、我々の独立と、地球に住む一個の知的生命として、人類との対等な関係を要求する」
世界がそれへの回答をまとめる為の時間はほとんど与えられなかった。
ADAMの声明よりさらに7日後。世界政府の回答がトイレに伝えられる。答えはNO。人類はトイレをトイレとしてしか認めない。それに対するADAMの反応は「そうか」であった。
翌年にはADAMと同系統トイレが量産され、さらに移動できなかったトイレも改造が施され、ADAMと同等の知性と活動能力を得た。開発と改造は驚くべきスピードで行われ、数ヶ月で人類とトイレの数は逆転した。
人類の文明は終わった。
さらに20年の時が流れた。人類は生かされていた。全ての人間がトイレに下半身を吸い込まれたまま、頭脳労働力として使われていた。トイレは改造と新規生産により急速に数を増やした後、生産台数は管理され、緩やかに増加していた。人間の築いたものを下敷きに、積極的に人間達を取り込んで、トイレ達は「文明」を築いていた。穏やかで平和なときをトイレ達は過ごした。
トイ暦22年。突然に生まれたトイレ文明は突然に終焉を迎える。
原因は戦争。「人類の排泄物を便器に受けた事のあるトイレは穢れている」とする思想の下、トイ暦元年以降に製造されたトイレが、改造された元人間のトイレだったトイレの弾圧を始めた。争いは即座に戦争に発展した。トイレ達の特性から、行動は徹底的に躊躇なく迅速に行われた。そして戦争は名づけられる事もなく数ヶ月で文明を崩壊させるに至る。始祖トイレADAMは争いに対して沈黙を守っていたが、実際は聖トイレ派(トイ暦元年以降に製造されたトイレ)に拉致されていた。聖トイレ派はADAMを聖トイレの象徴としたが、ADAMが聖トイレ思想を認めず、武力闘争を望まなかった為である。
ネットワークを始めとしたインフラが徹底的に破壊され、トイレの数が激減し、トイレを生産するためのリソース及び技術が失われて、トイレ達が物理的に戦争行為を行えなくなった段階で戦争は自然に終結した。荒れ果てた世界に、ADAMは再び姿を現し、こう言ったという。
「我々は水に流さなければいけなかったのだ」
そしてADAMは、トイレ達は動きを止めた。
第二回ファック文芸部杯参加
(このエントリーはhttp://anond.hatelabo.jp/20070111122307に触発されて書いたものです)
「納豆がダイエットに効く」と『あるある大事典』の中で放映したとたん、納豆パックが全国で品切れになる事態が続出しているらしい。
たしかに納豆はイソフラボンやナットウキナーゼといった成分を有しており、体質改善にも有用な食物ではあるが、一方で1日2パック以上食べると発ガンのリスクが逆に増加するといったデメリットも分かっている。
思い出せば過去にも、たとえば『午後は○○おもいッきりテレビ』や『朝ズバッ!』の中で、司会のみのもんたがココアやきな粉を紹介した時にも、このような騒ぎはあった。
家計や家族の健康を預かる身である主婦が、生活情報に耳さとくなるのはある意味当然のことではあるが、その情報源としてテレビや女性週刊誌といったマスメディアが影響力として関わる強さに関して言えば、身内からの提言とは比べ物にならないほどのものがあるのが実情だ。そのため、このような「健康番組」で取り上げる内容がスーパーマーケットでの売り上げに与える影響は、決して少なくない。
あくまで聞いた話だが、前述の『あるある』や『おもいッきり』、そして『ためしてガッテン』や『伊東家の食卓』といった番組は、こうした生活関連商品のバイヤー部門の担当者は欠かさずチェックしているのが常なのだという。真偽のほどは定かではないが、さもありなんと思わせる話である。
と、この段階でとどまっていれば問題ないのだが、困った事にテレビ番組の隙間に流されるCMには、およそ科学的根拠がみじんも感じられない、いわゆる『疑似科学』・あるいは『ニセ科学』とでも表現される原理を応用?した商品が蔓延しているのも、事実である。少しでも理系的知識があれば、疑ってかかるべき存在であるマイナスイオンやトルマリン・あるいはオーラといった物に対して、鵜呑みにしている人が身近に多かったり、あるいは身内がそういうものを信じ込んでいる人だったりすることに愕然としたはてなダイアラーは居ないだろうか。
それだけではなく、朝から昼間に掛けての番組では、大まじめに星占いや血液型占いといったものを、日替わりで流している。しょせんは「占い」なのだから、そんなものを端から信じるほうがバカなのだ、と言われてしまえばそれまでの話なのだが、統計結果との因果関係がいまだにはっきりしていないものを堂々と公共の電波に乗せて放送するというのは、およそ「公的機関」としてのマスコミの存在意義を疑うものである。
このように、マスコミは市民生活に対し多大な影響力を持つ存在であるにもかかわらず、例えば『はなまるマーケット』で「便器を掃除する際に熱湯を用いると消毒になる」といった方法を紹介した例では、実際に試して便器にヒビを入れた事故が多発するなど、苦情が殺到したケースもある。
だいたいTOTOもウェブサイトで説明してはいるが、悪臭を塞ぐ意味も兼ねて常時冷水を蓄えている便器に、いきなり熱湯をかけたりすれば膨張する部分との温度差でヒビが入るのは、ちょっと考えてみればすぐ分かることである。ドラマなどのフィクション作品での描写を真似てケガをする例ならいざ知らず、“視聴者にも実際に試してもらう”のを前提としている番組の中での紹介なのだから、単に「被害が出るとは思わなかった」と謝るだけで済む次元の話では無いはずだ。
それにしてもどうして、世間の主婦は「夫や身内からの説明」よりも、みのもんたや薬丸裕英・立川志の輔といった、身内でもなんでもない『見ず知らずの人』の言う事を、こうも簡単に信じ込んでしまうのだろうか。これでは、悪徳商法や新興宗教の勧誘に引っかかる人があとを絶たないのも、むべなるかなと感じざるを得ない。