はてなキーワード: コミックビームとは
あるところに、Cという男がおりました。
A「そういえばこないだテレビで」
B「ああアレ? 面白かったよね」
C「お前らまだテレビなんか見てるの? 俺もうテレビとか何年も観て無いわ。家にあった奴もだいぶ前に捨てたし。毎日テレビ観て面白いか?」
A・B「……」
A「昨日ミュージックステーションに出てたあの人誰だっけ?」
B「ああ、なんだっけ? すごいいい歌だったけど」
C「お前らまだ邦楽なんか聴いてんの? Jポップとかいって、どれもみんなオリジナリティのない洋楽の劣化コピーばっかじゃん。うちにあるCDはだいたいヨーロッパの…」
A・B「……」
A「このステーキ屋おいしいらしいよ?」
B「ほんとだ、おいしそう。こんど食べに行く?」
C「お前らまだ肉なんか食ってるの? 俺ほとんどタンパク質は魚と豆しかとらねーわ。なんつーか、胃にくるんだよね、胃に。いいねえ、若い人はね」
A・B「……」
A「今週のジャンプ読んだ?」
B「読んだ読んだ。ワンピースがさ…」
C「お前らまだジャンプ読んでるの? あんなの子供向けだろ。俺はコミックビームとIKKIしか読まねえな。話の密度が違うよね、やっぱ」
A・B「……」
Cは、狼に食べられてしまいましたとさ。めでたしめでたし。
O村さんこと、エンターブレインコミックビーム編集長奥村 勝彦さんの言葉が、
ほんとにそのとおりだと思ったので、ここに転載させていただこうと思う。
◇■編集長O村の編集余話■◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
あー。今年の初めにオヤジが他界して、今年一年ロクな年にはならんぞって
思ってたら、案の定、ガッタガタの一年になっちまった。まあ、ガッタガタな
のは俺だけじゃなくて、世界中なんで文句ばっかし言っててもしゃあねえけど。
来年も相当にタフな一年になりそうだ。正月休みの間に、いろいろ最悪な状
況をイメージして気合を入れ直さんといかんなあ。毎年、やってることなんだ
が、俺はこの作業を“肝を据えなおす”と勝手に名付けてるの。人間、何かを
やろうと思ったら普通、好きなことをやろうとする。それはべつにかまわんの
だが、それだけじゃ持たない。スタミナ的にもそうだし、ちょっとピンチにな
ったとしても“好き”だけじゃ厳しい。なぜか?
“好き”という感情は結構モロいから。なぜなら、“好き”な対象には必ず
美しい面と醜くて苦しい面が共存してるから、全部ひっくるめてそれを飲み込
まねえと、本当の意味でやりとげんのは不可能なんだわ。そうじゃなくても、
他にもっと“好き”なものが出来たとしたら? 無責任に飛び移れればいいけ
ど、たぶんキリがねえぞ。一生、フラフラして終わり。経験上“好き”だけで
やってる連中は長持ちしない。他の世界へ去っていくか、途中でポキッと折れ
てお終い。なんとかその世界で生き抜こうと思うのなら、キッチリとした矜持
(たぶんプロ意識と呼ばれているモノ)を持って、肝を据える……これぐらいし
か思いつけねえな。少なくとも俺は、そうなれたらいいなあ、って思っている。
さて、来年はどんな一年になるか?……全く予想も出来ねえや。でも、こん
なに緊張感を持って、一年を迎えようとしているのは生まれて初めてだな。