2021-12-12

彼の中のfeminine/私の中のmasculine

彼は、手紙手作りお菓子を私にくれた。

私は彼の、少女のような部分が好きだった。

彼が好いてくれる私は、かっこよくてクールだった。

あの頃私たちは、男でも女でもない、ただの“私たち”だった。

 

月日が流れ、「男らしさ」「女らしさ」という価値観に染まり私たち関係は終わった。

その後の出会いはどれも、「女らしさ」を相手から求められるたびに窮屈に感じて、長続きしなかった。

 

彼が好きになってくれたかっこいい私は、今も私の中にいて、時々あの頃のことを“女々しく”思い出している。

 

ひとつだけ後悔していることがある。

彼と当て所なく歩いた夕暮れの帰り道、別れ際の彼の横顔に、そのままキスしてしまえばよかった。

 

 

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