何か辛いことがあったというわけでもなく、何か衝撃的なことがあったというわけでもない。
ただただ、なんとなく部屋の中で立ち尽くすことがある。
時刻は夕刻。
日は山の向こう側に行き、空はグラデーションのように濃いオレンジ色から水色青色と変わり、黒色の夜になろうとしていた。
部屋の中は、もう日が差し込んでなく、物の陰影や色が同化し分かりづらくなっている。
この時間帯は物の区別がつきづらく、全てが統一されたかのような世界に迷い込む。
何故、立ち尽くすのか自分でも正確には分かっていない。
ただ、周りの景色の変化で感傷的になり、一日がもう終わるということを、実感として感じやすくなっているのではないかと思っている。
しばらくすれば、この世界はなくなる。