遠い昔、慣れない電車に揺られ、海を見に行った。たしかその時、君は白いワンピースを着ていて、青いリボンの麦わら帽子を被っていた。ときどき見せるえくぼにどうしてか心がざわついたものだった。ふと、君が遠くへ行ってしまうような気がした。けれども君は何も答えなかったから、僕は夏の空を遠くに眺めているだけだった。つまりあのころ、君は少女で、僕は少年だった。
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