192.168.3.0/24。
何の変哲もないクラスCのローカルネットワークだけど、このCIDR表記を思い出す度に懐かしい思いが込み上げる。
10年前俺は、関西の中堅企業で社内インフラの整備を任されていた。
ネットワークは、部署毎にセグメントを設け、部署間をL3スイッチで繋ぐありふれた構成であった。営業1課...192.168.1.0/24、2課...192.168.2.0/24、開発1課...192.168.3.0/24。その他いくつか。
開発職に未練を持ちながらインフラに携わっていた俺は、例えネットワーク越しであっても、開発1課のデバイスにアタッチする度にある種の一体感と高揚感を覚えていた。
俺にとって、192.168.3.254(192.168.3.0/24のゲートウェイアドレス)は、間違いなく華やかな開発職への夢の扉であった。