とにかく、腹を撃たれた。しかし、どくどくと出てきたのは血ではなくカスタードクリームだった。溢れ出すクリームをなんとか飲もうと必死で傷口に頭を近づけるが、腹を曲げるので余計に漏れていく。ならば地を這ってでも零れたクリームを舐めとろうと考え、うつ伏せを試みるも、体躯をねじるのは更に良くないと気付き、もがくのをやめる。いつの間にか体表にはビニール袋のように複雑な折れ目と無数のシワができている。もはや少しだって動くことはかなわないだろう。バニラの香り漂う中ただ一人、ああ俺の中にはカスタードクリームしか入っていなかったのだなあ、なんとくだらない、…とつまらない気持ちになってきた辺りで目が覚めた。
Permalink | 記事への反応(0) | 20:51
ツイートシェア