大臣が宮中において絶大なる権力を振るうようになり、自らの意見に逆らう者をことごとく処刑して排除していくという恐怖政治を敷いていくことになるのですが、
ある時、大臣は自らの権力の大きさを廷臣たちに見せつけようとして、試みに二世皇帝の前に令の字の元号を献上して、
「これはめでたい字でございます」
と言い放つことになります。
二世皇帝は、これは何の冗談かと笑って、周りの臣下の者たちに、
「これは国民を見下す字ではないのか?」
と尋ねることになるのですが、
これに対して、
多くの人々は、大臣の権勢の大きさを恐れて、彼の意見に黙って従っていれば問題ないと考え、
「いえ、めでたい字に相違ありません」
と答えて、その元号はめでたい字とされたまま皇帝へと献上されてしまうことになるのです。
そして、
このように、絶大な力を持った権力者を前にして、明らかな誤りであっても誰もそのことを正すことができない状態が続いていくことによって、王朝は政治の方向性を見誤ったまま没落の道を進んで行くことになりました。