あの頃住んでいた団地は、既に取り壊されていて、南国を連想させる名称が付いたニュータウンになっていた。
小さい頃は、この街の道がどこにどう繋がっているかを隅々まで知っていたはずなのに・・今車で走ったらまるで初めて来たように感じてしまった。
自転車で息を切らしながら走ってた頃の風景がそのままの場所もあれば、すっかり変わってしまった所もあり、車を走らせながら僕は混乱してしまった。
一体僕はどこへ来てしまったのだろう。
顔も思い出せなくなってきた同級生の家々。
今でも連絡が取れるような友人は1人もできなかった小中学校。
団地が取り壊されてしまったとき、僕の中の故郷は本当の意味で無くなってしまった。
もう来ることは無いだろう。