5年ぶりに、本気の恋。
5年前は悲恋で終わった。
けれど、それを突き破ってきて、それからは四六時中その人のことを考え、恋い焦がれている。
相手は知り合ったばかりのとき「付き合ったことない」と言っていて、自分も「同じ」と応えた。
その後、付き合いが深くなったころに、相手が前の恋人の話をした。
できるなら「誰かと付き合ったことない人が良い」と思っていたけれど、自分はそれほどこだわりはなかった筈だ。
しかし、その日は寝れなかった。
頭が冴えて、そのことばかりが気になり、胸の奥が締め付けられた。
泣けもせず、乾いた笑いばかりがでて、一晩を過ごした。
次の日、仕事に行き、乾いた笑いと、胸の痛みを殺しながら仕事をこなした覚えがある。
自分でも驚いたが、酷くとらわれているようだった。
それは帰ってからも変わらず、けれど、寝れた。
泣けたのは、しばらく後だった。
好きになってから、しばらく経つ。
まだ、相手とは恋仲になっていない。
こちらから言えば、どうやらなれそうではあるが、勇気がでないままだ。
あれから、乾いた笑いが出たのと、胸が締め付けられた回数は、数え切れない。
しかし、泣けたのは1回だけ。
泣いたほうが楽になれるのだが、中々涙が落ちてこないのだ。
早くどうにかなりたいものだ。
今日も部屋には乾いた笑いが響き、涙は落ちてこない。