「ねぇ、これってなんだと思う?」
そんな彼女の言葉に振り返ると、突然キスをされた。
だが、甘い。
比喩ではなく本当に甘い。
彼女が舌を押し込んでくる。
それと同時に何かを口移された。
その何かは理解する間もなく溶けて消えた。
「今の、なんだったの?」
「私の気持ち」
意味がよく理解できない。
「サヨナラ」
そう言って彼女は去って行った。
今になって思い出す。
口移された甘い何か、あれはラムネ菓子だったのではないか?
瞬く間に溶けてしまって、後には何も残らない。
それを自分の気持ちに例えた彼女の胸中。
今でも理解はできない。
だからこそ、甘い何かはラムネ菓子であり続けるのだろう。
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