数年前、出社時の駅までの途中にある一戸建てから出てくる30代とおぼしき男性が
少し歩いてから振り返って手を振り、またちょっと進んでは振り返り…を繰り返していた。
振り向くと戸建ての外階段の上から、奥さんであろう女性と2~3歳の女の子がいつまでも手を振っている。
幸せそうな光景で和んでいた。私は幸せそうにしている人たちが好きだ。
それからしばらくは出社時間がずれていた為、彼らを目にすることは無かったが、
今日、数年ぶりに彼を見かけた。
随分と恰幅が良くなっているが、彼…だよな…?
と見ていると、彼は振り返り手を振る。
『お、あれからだいぶ経っているけど、まだお見送りしてもらってるな』
と私もこっそり振り返ったら、くだんの外階段からにこやかな老婆が手を振っていた。
…あ、あれ?