2015-08-16

弟とお姉ちゃん

ホントにそれでいいの?お姉ちゃんはおっきいのにしたよ。お姉ちゃんみたいにおっきなのいらない?」

5歳か、6歳くらいだろうか。女の子が小さな弟に世話焼きそうに尋ねかけている。

弟の男の子は3歳か、4歳か。はっきり分からない。俺には分からないのかも知れない。じっと、黙っていて口を結んで、自分の考えを持っているように見えなくもない。

ぎゅぅっ。と、胸が痛くなる。

心の形が変わるのが分かるほど、直接にわしづかみにされた衝撃が走る。

姉さん。

違う。姉さんと俺はもっと年が離れている。そんな否定を思い浮かべてももう遅い。姉さん、そう、姉さんである可哀想な姉さん、何も知らない姉さん。

かつて俺にも姉さんが、あんな風に話しかけてくる姉さんがいた。

今ごろでも生きているのだろうか、弟がどこにいるのか考えながら?

いや、「なぜ」だろう。

考えるとしたらそれだ。しかし…。

その弟にとって、姉は過去だ。一瞬、胸を締め付けるだけで、そこで終わる。

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